インターンシップといえば、就活期に参加する短期間の「無給インターンシップ」をイメージする人が多いと思いますが、最近では、給料がもらえるタイプの「有給インターンシップ」も増えてきています。
「インターンシップへ参加を考えている」もしくは「参加が決定しているものの、無給なのか有給なのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「インターンって給料出るの?」をテーマにインターンシップに参加する際に知っておきたい給料や労働の話について解説いたします。
結論から言えば、冒頭で述べた通り給料が出るケースもあれば出ないケースに分かれます。そもそもインターンシップは、大きく分けると以下の2つのタイプに分かれます。
では、無給インターンシップと有給インターンシップとでは具体的にどう違うのか?まずは、その違いについて詳しく見ていきましょう。
その名の通り、給料などの賃金報酬が支給されないインターンシップのことを指します。
無給インターンシップの内容は、「職業体験」のようなものです。企業側から見れば参加者はゲスト扱いで、あくまで自社の業務を体験してもらうことを目的として実施しています。
そのため、インターンシップ参加者が関わることによって、例えば受け入れ企業の売上が変動するというようなことはありません。
実施時期についての明確な決まりはありませんが、多くの企業では「春休み」や「夏休み」と言った長期休暇の間に無給インターンシップを開催しています。
期間については、1~3日や1~2週間といった単位で行われるケースが多いです。
その名の通り、給料などの賃金報酬が支給されるインターンシップのことを指します。
有給インターンシップの多くは、実施期間が長期にわたることが特徴です。どれくらいの期間かは明確に定まっていませんが、短くても3ヶ月~半年以上と定めている企業が大半です。
内容に関しても、有給インターンシップは実際の業務を任されることが多く、無給インターンシップのような単なる仕事体験には留まりません。
上記のように戦力の1人として業務に取り組むことになるので、企業の売上に貢献できます。
従って、当然ながら給料として対価報酬が発生します。
インターンシップを定義するような直接的な法令があるわけではなく、法的に無給インターンと有給インターンシップの場合で明確に異なる点は、インターンシップの内容的に参加者が「労働者」に該当するかどうかがポイントになります。
労働者の定義職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者 で、賃金を支払われる者(労働基準法第9条)1・2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断する。
1 使用従属性に関する判断基準
(1)指揮監督下の労働
①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
②業務遂行上の指揮監督の有無
③拘束性の有無
④代替性の有無
(2)報酬の労務対償性
2 労働者性の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無
①機械、器具の負担関係
②報酬の額
(2)専属性の程度
(3)その他
昭和60年厚生労働省「労働基準法研究会報告 (労働基準法の「労働者」の判断基準について)」より
仮にインターンシップ参加者が上記の「労働者」の定義に該当しているにも関わらず、給料が支払われないともなれば、労働基本法違反となります。
また、たとえ給料が発生していたとしても、時給換算した際に最低賃金以下で働かさせられていた場合には違法になります。
上記のことから、無給のインターンシップの場合は、プログラム内容は見学や体験程度である必要があります。これに反して、企業側の指示によって参加者に業務を行わせる場合は給料による報酬が必要となり、仮に無給で業務をさせた場合は違法に問われる可能性があります。
アルバイトは、あくまで収入を得ることを第1の目的としています。
一方で、有給インターンは社会に出てひとりの社会人として、
などが主な目的になります。
単に給料だけをもらうのではなく、同時にスキルアップ・実務経験を得るなど、自己成長・自己実現できる絶好の機会と考えると良いでしょう。
有給インターンシップは、参加者を支援するために給与を支給しつつ、スキルアップや就職活動に有益な特別カリキュラムもプラスアルファで用意されている点がアルバイトと大きく異なります。
一方で現実としては、収入目的で有給インターンシップに参加している学生が多いことでしょう。
また同じく収入目的のアルバイトであっても、例えば「編集者を目指しているので、出版社で編集のアルバイトしている」といったケースは、自己成長・自己実現の機会となるため、アルバイトと有給インターンとの線引きは難しいと言えます。
交通費や宿泊費を支給しないといけない決まりはないため、企業によってさまざまです。
有給インターンシップは、支給されるケースが多いです。ただし、一般的な労働契約と同様に企業側は必ずしも交通費を支給しなければならない訳ではありません。
かつてのバブル期には、学生に対して交通費や宿泊費などを過度に支給して、金銭による人材の囲い込みやを企業側が意図して行っていたようですが、昨今では、なかなか売り手市場とは言えど、学生にそこまで投資する余裕が無いというのが実情です。
また、SNS全盛の社会においては、学生に対してこういった接待を匂わせる過度な優遇対応はすぐさまネットで拡散されるので、ご時世的にもやりにくいと言えます。
無給インターンの場合は、労働者に該当しないので労災保険の対象外です。その代わりに企業によっては、インターンシップ保険への加入を求められるケースがあります。
例えば、「業務を体験する中で怪我をした」「社員の不注意で怪我を負った」といっなどの不利益を被る可能性があります。
また企業側が意図していなかったとしても、工場やオフィス内で誤って転倒して怪我をするようなこともあります。
そのような際に、インターンシップ保険に加入していれば怪我の治療のための費用がおります。また、物損など参加者側の不注意で企業側に何か賠償が必要になった時も、インターンシップ保険で対応できることがあります。
有給インターンシップの場合は、「労働者」に該当していれば労災は当然ながらおります。
今回は、「インターンって給料出るの?」をテーマにインターンに参加する際に知っておきたい給料や労働の話について解説いたしました。
インターンシップという名のもとで、タダで労働力を集めようとする悪徳企業も存在します。また、ベンチャーやスタートアップなどの創業間もない中小企業の中には、悪意は無いものの労働法を確認せずにインターンシップ参加者を無給で実務に就かせる企業が存在するのが実情です。
インターンシップに参加する際は、短期か長期の前に「無給」か「有給」かを必ず確認しましょう。
「無給」にも関わらず、実務作業が発生した、組織の指揮系統の中で命令されたのであれば、それは労働であり労働法違反に該当します。
実務を経験させてもらえるなら「無償でも良い」「手弁当でも良い」と考える参加者も存在するかもしれません。ただし、見方を変えればそれは単なる「やりがい搾取」とも捉えられます。
いま一度、インターンシップに望む前に労働に関する正しい知識を身につけておくと良いでしょう。
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